初投稿はこのブログの方向性だけでしたので、今回は楽曲紹介の初投稿。北マケドニアの民謡から始めます。
今回紹介するのは、Na Struga Duḱan Da Imam（ナ ストゥルガ ドゥキャン ダ イマム）という、古くからある民謡です。まずはYouTubeの動画をご覧ください。
とても軽快で明るい曲です。この曲またはリズムをご存知の方ならば体が自然に動いてしまうかもしれません（実際バルカンダンスで踊られています）。一方、耳馴染みの薄い方だとこの不思議なリズムに戸惑ってしまうかもしれません。
この曲は8分の9拍子という、いわゆる変拍子と呼ばれるリズムになっています。今回は変拍子については深入りしませんが、とりあえず「タンターンタンタン」 と手を叩いてみてください。これがこの曲特有のリズムになっています。
このブログでは、このような変拍子の音楽を今後もいろいろ取り上げていくつもりです。変拍子の説明はまた別の機会にしていこうと思います。
さて、タイトルの「Na Struga Duḱan Da Imam」はマケドニア語で「ストゥルガに店ができる」となるでしょうか。ストゥルガ(Struga)というのは、北マケドニア共和国の南西にあるオフリド湖の北岸に位置する町の名前です。
北マケドニア共和国の町・ストゥルガ（Struga）の位置
OpenStreetMap: Struga
歌詞は以下の通り：
Shto mi e milo em drago,
na Struga dukjan da imam.
OF lele, lele libe le
srcevo mi go dzhanam izgore.
Vo Struga dukjan da imam,
na kepencite da sedam.
Of lele, lele libe le
srcevo mi go dzhanam izgore.
Na kepencite da sedam,
strushkite momi da gledam.
Of lele, lele libe le
srcevo mi go dzhanam izgore.
Koga mi odat na voda,
so tie stomni shareni.
Of lele, lele libe le
srcevo mi go dzhanam izgore.
So nalanite tropaat,
srcevo mi go kopaat.
Of lele, lele libe le
srcevo mi go dzhanam izgore.
この民謡は古くからある有名な歌のようで、北マケドニアの多くの歌手がこの民謡を自分のレパートリーにしています。その中でも今回は特に、“ロマ音楽の女王”として世界的に有名なEsma Redžepova（エスマ レジェポヴァ）が若かりし頃に歌った曲を選びました。前述のYouTube動画は20代前半のRedžepova本人が映っている貴重映像です。
Arbenllapashticaaa, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
Esma Redžepovaは、1943年、スコピエ（Skopje、現在の北マケドニア共和国の首都）のロマ（ジプシー）の生まれ。幼少期から歌の才能に恵まれ、14歳の頃から音楽活動を開始。ロマであることに対する差別や偏見と闘いながらも、'60～'70年代に音楽で成功をおさめます。Na Struga Duḱan Da ImamはRedžepovaのその黄金期の作品の1つで、ユーゴスラビアのレコードレーベル Jugoton（ユーゴトン）よりリリースされたEP版レコード（下記）のA面の2番目に収録されています。
 |
Discography Infomation Title : Pevaju Pesme Iz Makedonije from Discogs |
Esma Redžepovaは2016年に73歳で亡くなりましたが、約60年におよぶ音楽人生の中で580曲以上の歌をリリースしてきました。ロマ語、マケドニア語だけでなく、セルビア・クロアチア語、ギリシャ語、トルコ語、ヘブライ語、そしてヒンディー語でも数多くの民謡を歌っていますので、いずれまたRedžepovaの歌を取り上げることもあるかなと思います。
このような感じでブログを進めていきたいと思いますので、今後ともどうぞごひいきに。
