今回のテーマはクリヴォ・サドフスコ・ホロです。
ブルガリアです。
と言いつつ、まずはバルセロナ・ジプシー・バルカン・オーケストラ(Barcelona Gipsy balKan Orchestra、BGKO) によるクレズマー風アレンジの曲から。
Krivo Sadovsko Horo - Barcelona Gipsy BalKan Orchestra (Live at Mittelfest, Italy) (2018)
- 音楽:Barcelona Gipsy BalKan Orchestra
- アルバム:Avo Kanto
- レーベル:Satélite K – SATKCD229 (スペイン, 2018)
BGKOは、バルカン半島、ロマ、東欧ユダヤの伝統音楽を独自のアプローチで演奏する多国籍音楽バンド。
メンバーはそれぞれスペイン人、イタリア人、フランス人、セルビア人、そしてギリシャ人と様々、さらに入れ替わりで他のミュージシャンが加わるメンバー構成で、2012年にスペインのバルセロナで結成さました。
さてBGKOが演奏するこの曲は、たまたま個人の好みでトップに持ってきましたが、本来はクレズマーでもロマ音楽でもありません。
ブルガリアのトラキア地方、ブルガリア第2の都市プロヴディフ近郊の町サドヴォ(Sadovo)にちなむ、13拍子=QQQSQQ(Q=Quick, S=Slow)の踊り(Horo)の音楽です。
メロディそのものはブルガリアの伝統音楽ですが、音源としてはブルガリアのクラリネット奏者ペトコ・ラデフ(Petko Radev)によるBALKANTONのレコードが初出なのかなと思います。
ペトコ・ラデフは、長年イタリア・ミラノのスカラ座でソリストを務めた、クラシックおよびブルガリアンフォーク音楽の巨匠*1だそうです。
Криво садовско хоро
- 音楽:Petko Radev (cl.), Ivan Kirev (Ac.)
- アルバム:Bulgarski narodni hora i ruchenitsi
- レーベル:BALKANTON 1467 (ブルガリア, 1973)
クラリネットとアコーディオンの絡みはもちろん、タパン(ブルガリアの大太鼓)の高速連打もカッコ良すぎ(誰か完コピしてくれないかな)。
何度も聞き入ってしまいます。やはり本物はイイ!
ホロなのでもちろん踊ります。例えば下の動画のように軽快なステップで踊られます。
НосиЯ и ТАНЦУВАЙ - Криво садовско хоро
NosiYa i TANTSUVAĬ - Krivo sadovsko horo
- 主催:Fondatsiya BŬLGARIN
- 音楽:Orkestŭr Briz
この動画はブルガリアのフォークロアを学ぶ子供たちを支援するブルガリア財団が主催するフォーク・フェスティバルでのワン・シーンです。
最後にもう一つ。
ノルウェーのアコーディオン奏者、ビヨルン・ペッテル・トェッセ氏(Bjørn-Petter Tøsse)が現在公開中の2020年のリモート・セッション映像をご紹介。
Krivo Sadovsko Horo
- 演奏:Bjørn-Petter Tøsse (Ac), Stojan Stojanov (Cl), Filip Arilon (Tp)
- 編集:Bjørn-Petter Tøsse
アコーディオンとクラリネットのテクニックたるや、もう言葉では言い尽くせません。
直接人と会うことがはばかられる時代、リモート・セッションの形態は確実に音楽文化の一端に浸透してきたように思います。
リモート・セッションにはまだ技術的な課題もあり、現在はオフラインでの個別動画撮影+映像編集か、または音声のみオンラインにする手法*2が主流かもしれません。
お互いの目を見て息を合わせたり、ジャム・セッションを楽しめるようになるのはもう少しだけ先の話かもしれませんが、いずれはごく一般的な手法のひとつになっていくのでしょう・・
・・というような堅い話はおいといて、なによりもこのような動画を通して演奏者たちの巧みな指使いがライブで見るよりよく見えるというのは、楽器経験者にとってはとても興味深いのではないでしょうかね。■
*1:Петко Радев (кларинетист) - УикипедиЯ(Wikipediaブルガリア語版)
*2:YamahaのSyncroomを使えば可能。